「楽しいをつなげよう 2017」Scratch×センサーボード×Arduino×ドミノのレポート

「楽しいをつなげよう 2017」Scratch×センサーボード×Arduino×ドミノのレポート

2017/7に三重県津市で開催したセンサーボード×モータ×Arduino×ドミノを使った子ども向けプログラミングワークショップ「楽しいをつなげよう」の様子。

このドミノとモーターを使ったワークショップはLittleCoderMie夏のワークショップでは毎年恒例になっていますが、今回は半日→1日に時間を延長し、Scratch+センサーボード(NanoboardAG)に加え、Arduino(Arduino IDEを使用)を使い、「楽しいをつなげよう」をテーマにワークショップを行いました。

来ていただいた人数と年齢

今回のワークショップには物理的なボード(NanoboardAG)が別途必要です。皆様にご支援いただき、年々少しづつボードを増やし現在は20枚になりました。ご支援頂いた企業は、ページ最下部に記載してあります。ご支援ありがとうございます。

と言うことでScratchコースは20名募集し20名、Arduinoコースは6名募集し6名、当日2名キャンセルが出て、計24名の方に参加してもらいました。年齢は6~14歳。Arduinoコースは比較的高学年の子が多かったです。

狭い部屋で机をつなげるために、やや変則的な配置に。1/3くらいが女の子。

やったこと

基本 昨年に引き続き、「楽しいをつなげる」をテーマに、センサーボード/Arduinoのアナログ抵抗の上にドミノを置き、ドミノが倒れたら、モータ若しくはサーボでビー玉を転がし隣のドミノを倒すを全体で繰り返していきました。

全体的な動き

2016-08-06_10h32_29

  1. 各自 数枚のドミノを並べる(上図 左側)
  2. 最終ドミノの下にはアルミテープが貼ってある
  3. 最終ドミノの下部に銅板×2が貼ってありセンサーボードへ接続(抵抗Aへ接続)/ ArduinoコースはAnalog入力へ
  4. 2を3の上に乗せ、通電状態にする
  5. ドミノが倒れ最終的に2が倒れ、センサーボードの抵抗値が変わる
  6. 5の状況を関知すると、子ども達が書いたボールが画面の中を転がる(Scratchプログラム)
  7. ボールが画面の端の絵のドミノに触れたら、ScratchからボードにつながったモーターをONに / Arduinoコースはサーボモーター
  8. モーターに乗せたビー玉が転がり隣のドミノを倒す
  9. 1へ
  10. ゴールはドローンが飛んで良い感じにする

コレが基本の形。モータを回しビー玉がドミノを倒し、最後のドミノが倒れたらセンサーボードの抵抗値が変わるので、次のモーターを回す。

ドミノにアルミテープを巻き、銅板の上にのせる

ドミノにアルミテープを巻き、銅板の上にのせる(通電)。倒れると電気が通らなくなる。

Arduino側の基本の形。こちらはサーボ。台座は一つ一つ3Dプリンターで作った。

今回のワークショップは「スクラッチでピタゴラ装置を作ろう by OtOMO」、「Physical-Digital Chain Reaction using WeDo Robotics with Scratch (MIT Scratch Team)」にヒントを得、作成しました。OtOMOの方は光センサー×LED、MIT Scratch Teamの方はLego WeDoの距離/傾斜センサー/モーターを使っています。公開ありがとうございます。

ワークショップの流れ(初心者・未経験者)

  1. Scratchの基本ブロックと操作説明
  2. Scratchでセンサーボードとモーターをどう使うのかの説明
  3. 何をやるのかをボールを使って体験
  4. 工作
  5. 3と連携させるプログラムの作成(ヒントを見ながら)
  6. 試行錯誤(工作。主にドミノとモータ部分の調整)
  7. 本番

昨年に引き続き、青柳さん講師のものと進められました。昨年と比べ時間に余裕があったためゆっくりと進行していたように思います。

Scratchの基本的な使い方の後、前に出てもらい「手に持ったボールを隣の人に回す」をしてもらい、これから作るもののイメージをしてもらいました。終了後その話を聞いたときは「凄い。ちゃんとしたワークショップっぽい!」と思ったのですが、効果的にはイマイチだったらしく、去年の動画を見てもらったほうがイメージ付きやすそうと言う話になりました。試行錯誤の部分はどれだけ時間があってもなかなか精度はあがらないため、リハーサル無しで本番に。

ボールを皆で回して、これから作るものをイメージしてもらおう作戦

後半の様子。時間的余裕なのか、昨年より自由に作る子が多かったように思える。

ワークショップの流れ(経験者)

  1. 入力を待ってからネコを動かすプログラムの作成
  2. Scratchでセンサーボードの値がどう取れるのか、モーターの動かし方の説明
  3. 完成作品の提示→これを見ながら試行錯誤でやってみよう(プログラム)
  4. 完成作品の提示→これを見ながら試行錯誤でやってみよう(工作)
  5. 箱に入った色んな物を工夫して可愛くしたり面白くしたりしてみよう(工作+プログラム)
  6. リハーサル
  7. 本番

基本、経験者側は完成作品を見せて、これと同じようなものを考えて頑張って作ってみようで進めました。

ただ、今までの経験から、経験者とは言えレベルには差がある&今回は時間が有るため、まず1の完成作(動きのみ)を見せて自分でプログラムを考えてもらい、難しそうな子のみヒントを与えつつ 同じ動きになるよう(プログラムは各自バラバラ)に頑張ってもらいました。ボードの値を取ったり、モーターを動かすだけであれば、さほど難しいプログラムにはならないため、その後は時間さえあれば比較的スムーズに進んでいたように思います。

全員がビー玉をモーターで転がしてドミノを倒す所まで作り、全体で何をするのかが分かった所で、5の「色んな物を工夫して面白くしてみよう」をしました。「色んな物」は100円ショップで「個人的にコレを使ってくれたら楽しい事になりそう&可愛くなりそう」を中心に20点ちょっと。久々に100均で買い物していて楽しかったです。

100均で揃えたあれこれの一部。この買物は楽しかった。最後には希望者に持って返ってもらった。

3年前、はじめてセンサーボード×モーターで工作系のワークショップをした時も同じように100均で色々買ったのですが、その時は「さぁコレを使って何でも良いから作ってみよう」だったため自由度が高すぎて若干反応が悪かった(子どもたちが何をしてよいかがわからない)為、同じことにならないか心配していたのですが、今回は凄く積極的に使ってもらえ、こちらの想定してない使い方もたくさん見られて楽しかったです。前と何が違うのかは… 使う対象が絞れていたからかなぁ。

コレを見て考えて作ってみようと言ってるの図

経験者側は半数が女の子だった

お子様ランチ用の旗とお花

男の子と女の子は作るものが違う

さぁコレをどうするか…

上部にモーターを付けて、こうなってた

ビー玉が転がると音がなる階段

ドミノは使わず、銃で隣を倒す作品。男の子っぽい。リハーサルでは上手く行ってて嬉しそうだった。

女の子らしいというか、こう使うとは思わなかったの例

ワークショップの流れ(Arduino)

  1. ArduinoとArduino IDEの使い方
  2. プログラムの説明(写経)
  3. アナログ抵抗値とサーボを動かすプログラム&工作
  4. プログラムを書き込んだら、PCはしまい電池のみで動かす
  5. リハーサル
  6. 本番

「Scratchばっかりやっていても面白くないよね」と言う話は前々からグループ内でありました。Scratchのようなブロックで作る方のArduino(ArduBlockBlocklyDuinoS4A)をやる案や、Scratch経験者向けにテキストベースのプログラムを体験するのをまたやりたい(2014年のenchant.js)なぁと思っていた所、今回であれば時間もあるし、両方(Arduino×テキストプログラミング)ができるなぁと。

講師役は毎回名古屋からワークショップに来てもらってるメンバーの平岩さんに。IDEとドライバ(中華製Arduinoを使用したため)は事前にインストールして来てもらいました。内容は写経中心に進めたと言っていました(当日の流れはあんまり把握して無くて、上記であっているかどうかは分かりません。ごめんなさい。)。

参加者は、Scratchではそこそこ自分の思い通りに作っていける経験者だったので、皆 理解しながらやっていたように見えます。

講師の平岩さん

こっちは皆真剣

準備中

エンジニアのメンバーがお手伝い

Arduino IDEを使いました

今見返すとこっちのコースは皆真剣で理系な感じね

Arduinoコースも女の子が2人参加してた

こちらも、終盤は形が変わっていくの図

高学年の子は工夫も面白かった

Arduinoらしく、最後はPCを外して並べた

その他(ドローン)

最後のオチはメンバーの方で「ドローンが派手に飛び立って何やらする」を仕込みました。

ドローンが飛び立つと、紙コップの中のビー玉が、ピタゴラ装置に入るの図

こちらも子どもたちと同様にScratchを使用し、センサーボードでドミノが倒れた事を検知し、今までの経験から皆で大きな声を出すと盛り上がるため 音量により2段階に上昇(node.jsに上昇の合図を送る)までをScratch、ドローン側はnode.js→bluetooth→ドローンと言う感じで動きます。音量やセンサーボードと言ったハードウェアとの組み合わせをnode.jsだけでやろうとすると(多分)面倒そうだけど、Scratchを挟むことによって楽に作ることができて良い感じでした。

ドローン(Parrot Mambo)とScratchの接合部分は下記を使わせてもらいました(作者は今回のピタゴラ案と一緒の石原さん)。公開ありがとうございます。

基本的な回路は子どもたちと一緒で、センサーボードの入力を受けるのはScratch

当日作ったので、ワークショップ中は子どもたちに気づかれないように裏で1人で黙々と作業をするメンバーの阪さん。寂しそう。

子ども達の反応

このワークショプの良い所は、隣同士のコミュニケーションが不可欠(いきなりドミノを倒されると困るなど)なので、自然と会話が生まれ「つながる」事ができることです。また、内容によっては一人でできないことも多いので協力しあって作る事も多いです。手で触れる物理的な物をプログラムで動かすのって大人でも面白いのですが、子どもたちも楽しそう。

子供達が一番盛り上がってる(試行錯誤している)のは工作部分なので「プログラミングワークショップ」としてはどうなのかなぁと思わないでも無いのですが、ハードウェアを組み合わせたプログラムはプログラム自体は単純な場合も多いので、コレはコレでOKでしょうと思っています。楽しいが一番だしね。

この2人 初対面とのこと。2人とも楽しそうにやっていた。

この2人も初対面。自然と会話が生まれる。

結果

会場が狭く、例年に比べ、あまりちゃんと撮れていませんが雰囲気を味わう程度に動画を御覧ください。

半分くらいはちゃんと倒れていませんが、本番そのものよりも手前の試行錯誤する部分が楽しく、大事なところなんじゃないかなぁと思っているので、これで良いと思っています。恐らく皆が同じキットなんかを使うと上手く行ったりするのかもしれませんが、少なくとも僕が楽しくない。

今までのワークショップの経験では皆で声を出すと盛り上がるので、最後のドローンは、ドミノが倒れたら少し上昇し、皆で大声を出すと更に上昇して装置が動くように作りました。皆ドローンを見てて、コップ下のボールやゴールなんか見てませんでしたが、まぁ良いでしょう。ドローンは小さくても結構危ないので、もっとちゃんと下がってもらうべきでした。

最後に

最近では書籍やインターネットを通じた参考サイト・動画も増え、家で黙々とすごい作品を作ることもできる環境が揃ってきましたが、皆でやってこそ楽しいネタと言うのはリアルな場でワークショップをしている意味があるなぁと感じています。今回自分のパート(経験者)しかちゃんと見れていませんが、工作の試行錯誤を眺めているのは私自身 凄く楽しかったです。

初心者向けの講師をしてくれた青柳さん、Arduino講師をしてくれた平岩さん、オチのドローンを頑張ってくれた阪さん、子どもたちをサポートしてくれた天野さん、吉田さん、水野さん、澤田さん、松浦さん夫妻、素敵な写真を取ってくれたメグー、そして、沢山の笑顔を見せてくれた参加者のみなさん。どうもありがとう。次回は秋の予定です。

メンバーの方のブログ

メンバーの方がドローン話の詳細を書いてくれています。

  • 子供向けプログラミングワークショップでParrot Mamboが子供たちからアツい声援を送られて頑張った話@平岩さん
    http://samuraidrone.jp/1141

過去の「楽しいをつなげよう」ワークショップの様子

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